Bクラス 1st Season 2018-2019

第4回「ウィーンミュージカルはなぜ『ちょっと暗い』のか」(2019/1/12)満員御礼

ウィーンミュージカル(シルヴェスター・リーヴァイ作曲/ミヒャエル・クンツェ作詞の作品群)から特に『エリザベート』『モーツァルト!』に焦点をおき、その読後感の「ちょっと暗い」音楽性の理由を考えていきました。


 
「長調」「短調」という音楽の区分によって、英米の作品(『ミス・サイゴン』『エビータ』など)とも比較しながら、果たして長調/短調と曲の明るい/暗いは一致するのか、についてさまざまな角度から検証しました。
そのほか、リーヴァイの使用する、クラシックとは理論上異なる「短調」「テトラコルド」といった音階の特性や、曲順構成などが、「ちょっと暗い」を音楽的に演出していることを解説しました。

第3回「『ノートルダムの鐘』と作詞家シュワルツの叡智」(2018/12/8) 満員御礼

アラン・メンケン作曲/スティーヴン・シュワルツ作詞による、舞台版『ノートルダムの鐘』を題材としつつ、

 

・「鐘の音」の音楽モティーフが作品中で変化していく過程(変奏/音楽におけるアナグラム)

・メンケンが音楽に綴った「人間」と「怪物」についてのメッセージ

・作詞家として関わった、作詞作曲家スティーヴン・シュワルツの、天才的な韻の踏み方を図式で解説

・シュワルツが作詞作曲の双方を手がけた『ウィキッド』における、彼の創作の特徴と『ノートル〜』の比較

 

などを通して、作品の構造に音楽・語学の両面から迫りました。また、即興での作詞作曲パフォーマンスも行い、実際の作曲シーンでの「作曲家の思考回路」について実演を試みました。

 

第2回「『オペラ座の怪人』とマスク」(2018/11/11)

アンドリュー・ロイド=ウェッバー作曲の『オペラ座の怪人』における、音楽要素としての3枚の「マスク」と、「作曲家の作曲した作曲家」としてのファントム像を観察しました。

また、同作の続編である『ラブ・ネバー・ダイ』や、同じ小説を基に書かれた、モーリー・イェストン作曲の『ファントム』との比較対照も行い、

1つのテーマに対する作曲家のアプローチの奥深さ

について考察しました。

 

 

第1回「『レ・ミゼラブル』とフランス語の英訳」(2018/10/27)

フランス語で作詞作曲された『レ・ミゼラブル』という作品を、元の言語で歌詞を読み進めることによって、作者たちの描いた緻密な構造を理解する試み。主にファンティーヌ、エポニーヌ、ヴァルジャンの3人に焦点を当て、3時間の演劇の中で湧き上がるたくさんの伏線(音楽・歌詞)が、「エピローグ」でいかに回収されているかということを観察しました。