ウィーンミュージカル(シルヴェスター・リーヴァイ作曲/ミヒャエル・クンツェ作詞の作品群)から特に『エリザベート』『モーツァルト!』に焦点をおき、その読後感の「ちょっと暗い」音楽性の理由を考えていきました。
アラン・メンケン作曲/スティーヴン・シュワルツ作詞による、舞台版『ノートルダムの鐘』を題材としつつ、
・「鐘の音」の音楽モティーフが作品中で変化していく過程(変奏/音楽におけるアナグラム)
・メンケンが音楽に綴った「人間」と「怪物」についてのメッセージ
・作詞家として関わった、作詞作曲家スティーヴン・シュワルツの、天才的な韻の踏み方を図式で解説
・シュワルツが作詞作曲の双方を手がけた『ウィキッド』における、彼の創作の特徴と『ノートル〜』の比較
などを通して、作品の構造に音楽・語学の両面から迫りました。また、即興での作詞作曲パフォーマンスも行い、実際の作曲シーンでの「作曲家の思考回路」について実演を試みました。
アンドリュー・ロイド=ウェッバー作曲の『オペラ座の怪人』における、音楽要素としての3枚の「マスク」と、「作曲家の作曲した作曲家」としてのファントム像を観察しました。
また、同作の続編である『ラブ・ネバー・ダイ』や、同じ小説を基に書かれた、モーリー・イェストン作曲の『ファントム』との比較対照も行い、
1つのテーマに対する作曲家のアプローチの奥深さ
について考察しました。
フランス語で作詞作曲された『レ・ミゼラブル』という作品を、元の言語で歌詞を読み進めることによって、作者たちの描いた緻密な構造を理解する試み。主にファンティーヌ、エポニーヌ、ヴァルジャンの3人に焦点を当て、3時間の演劇の中で湧き上がるたくさんの伏線(音楽・歌詞)が、「エピローグ」でいかに回収されているかということを観察しました。